2015年11月10日火曜日

カヨの心情。


-----ねえ、今、誰が一番好き?
-----唐突に何を言う。カヨに決まっておろう?
-----そんな事言って、最近は楽しそうじゃない。
-----べ、別にちぃとは何でもないぞ!?
-----別に千草とは言ってないけどね。
-----!!!?

麗奈があの出来事から立ち直って元気になっていくのはとても嬉しい。けれど何故なの、それは私によるものではなくて。

-----あーあ、出会った頃はカヨちゃんカヨちゃんって可愛かったなー
-----お主は私の母親か。

楽しい思い出を忘れないよう、毎年行ってきた私と麗奈の出会ったお祝いをする日まで後ひと月。

-----ねえ、先週言伝した件はちゃんと準備してくれてる?
-----ん?ああ。来月の記念日だったな。勿論進めてるぞ、ちぃが。
-----相変わらずこき使ってるのね。そろそろ私も混ぜて貰おうかしら?
-----カヨにも妓楼の主が居るだろう。
-----男妓楼よ。女に優しくしてくれるわけないじゃない。

ただ普通に町娘同士で出会っていたらどうなっていただろう。
もし私が浅葱を守りきれていたらどうなっていただろう。

-----待たせたな。ちぃが予約した店の地図を探していた。
-----・・・相変わらずね。

浅葱は、記念日でも話すのは思い出じゃなくて。
ここに来て出会った人たちとの事ばかり。

-----やはり、カヨが一番じゃな。
-----私だって何があっても貴方が一番よ。

きっといつかは私なんて見向きもしないくらい幸せになるのだろう。
既にあるそれに気付いてしまうまでは、どうかこのまま。
ずっと気付いてほしくはないけれど、大好きな浅葱には気付いてほしい。
だから、気付いてしまうのはもう少し、もう少し後で。


end

~イメージ~
東 方 p r o j e c t
未 来 予 報
サ リ ー

綺麗なカヨちゃん(`・ω・)

2015年6月21日日曜日

【曲からで描or書いてみよう企画】<チャンカパーナ>by 都子指定曲。

■剣
今日の打ち合わせ、遅くなりましたね。

■剣(語)
俺と蜜柑さんは今、馬車に揺られて帰路を進んでいる。

■蜜柑
ええ、そうですね。

■剣(語)
今日は常磐さんも居ないし、俺が守らねばっ
蜜柑さんはぼーっと外を見て俺が話しかけても似たような返事だけ。
きっと疲れているのだろう。

■蜜柑
(はやく帰って莉李で癒やされたいです。)

■剣
(それにしても・・・会話が捗らない。)

■剣(語)
なんとか話題を探そうと四苦八苦している俺をよそに
蜜柑さんはハッとした表情でもたれていた状態を起こした。

■蜜柑
・・・・!!

■剣
?
蜜柑さん、どうしたんですか?

■蜜柑
用事ができました、先に帰っていて下さい。

■剣
え、え!?蜜柑さん!?

■剣(語)
蜜柑さんは勇ましく馬車の扉を開けると、
ためらいもなく道へ飛び降りる。

■剣
えええぇえええ!?

■蜜柑
(たしか、この辺に!)
・・・いた!

■剣(語)
俺がなんとか追いつくと、蜜柑さんはしゃがみこんで何かを見ていた。

■剣
蜜柑さん?

■蜜柑
剣、見てください!
黒猫です!

■剣
少し小さい、ですね。
親猫も見当たりませんし・・・どうしたんでしょう。

■蜜柑
決めました、私・・この子を連れ帰ります!

■剣
蜜柑さん!?
この間も連れ帰ってお手伝いさんに怒られたでしょう!

■蜜柑
今度は内緒にはしません、
ちゃんと家に上げるための準備をしてもらいます。

■剣
(大丈夫かなぁ・・・)

■剣(語)
俺の心配をよそに、蜜柑さんは馬車を飛ばして屋敷へ向かった。
お手伝いさんは呆れたような諦めたような顔をして子猫を風呂場へ連れて行く。

■お手伝いさん
剣様、もう遅いため今宵はお泊まり下さい。
梔子のお屋敷には連絡しておきましたゆえ。

■剣
え、は、はい!
(よ・・・予想外のお泊り!)

■蜜柑
剣、お猫様のお清めが終わりました!
私が疲れて寝てしまわないように見張っててください!

■剣
な!!!?
(いやいやいや、未婚の女性の部屋に行くわけにはッ)

■剣(語)
嬉しそうに猫を抱えながら腕を引いてくる蜜柑さんに、俺の抵抗力はゼロだ。

■蜜柑
ああああ、お猫様ッ

■剣(語)
俺の存在など忘れたように蜜柑さんは黒猫と戯れている。

■蜜柑
ほうら、こっちですよー

■剣
え、俺の体を遊具にするのは・・・
ちょ、爪、爪が!!

■蜜柑
それくらい我慢してください。
珍しくお猫様が威嚇せずに剣で遊んでいるのですから。

■剣
俺で遊んでいるんですか!?

■蜜柑
漆黒の毛並み、葡萄のような紫に近いくりっとした瞳、
まれに見る逸材のお猫様ですよッ

■剣
(蜜柑さんが我を忘れている・・・)

■蜜柑
もう我慢できませんッ
飼います、この子飼います!

■お手伝いさん
失礼しま・・・あらあら、熱が入ってしまいましたか。
ダメですよ蜜柑様、そうやって野良猫を飼い始めたら猫屋敷になってしまいます。

■蜜柑
猫屋敷!素晴らしいじゃないですか!

■お手伝いさん
いけません。

■剣(語)
蜜柑さんはお手伝いさんに一蹴されて助けを求めるように俺を見る。

■剣
(うぐ・・・いくら蜜柑さんのお願いでも無理です。)

■蜜柑
くそう、こうなったら今夜はお猫様を堪能します!

■剣(語)
こうして蜜柑さんは自分の腕に飛びついた小さな黒猫に悶えながら、
蜜柑さんは寝ずの一夜を過ごした。

■剣
(俺も一夜を過ごしてしまったわけですが、存在を忘れられているような。
・・・そんな哀れみの視線を向けないでください、お手伝いさん。)

2015年6月2日火曜日

【曲からで描or書いてみよう企画】<菩提樹>by 麗音指定曲。

仮想近未来の麗音 in 仮想大江戸の麗音

(ちぃが襲われそうになって、咄嗟に身体が動いた)
(気付いたら、この世界の浅葱になっていた)
(直ぐにでもちぃの所に戻りたかった)
(なのに、千草を想ってしまった)


----千草。どうやら私は戻れるらしい。

・・・そう。
なら麗音は”ちぃ”に返さないとね。

----私はちぃも千草も大事だ。
----勘違いはせぬようにな。
----魂が同じだという理由ではない、千草だからそう思ったのだ。

うん。
もしこのアンドロイドに宿った本来の魂が麗音と同じだとしても、
俺はその子を麗音として扱ったりなんてできないよ。

----しかし、この浅葱も私だ。この世界の私には違いない。
----ちぃのように私を救ってくれるか?

勿論。
もう一度、あの日に戻って出会い直すとするよ。
ふふっ、まるで僕達の子どもができるみたいだ。

----我が子の成長していく様子が見れないのは心苦しいものよのう。
----(千草は浅葱を人間として、女として愛してしまうだろう。)

ああ、そろそろじゃないかな。
そちらの僕にもよろしくね。
・・・なんだかお別れって感じがしないなぁ。

----千草、泣いておるのか?
----(こちらに来る前のちぃの表情と被る)

俺が泣くわけないだろう?
ほら、もう行きなよ。

----ああ、それじゃあな。
----(鉄の身体から離れていくのがわかる。)
----(何故か、浅葱と千草の様子がハッキリと見える。)
----(去るギリギリまで見せつけるというのか。)

・・・キミが浅葱だね。
今日からキミは麗音だ。
違法に量産された浅葱じゃない、
アンドロイドだけど一人の女の子として俺と生きてくれる?

----(千草、その悲しそうな表情はその世界の私が変えるだろう。)
----(私もちぃと共に生き、共に逝き、共に生まれ変わることができるのならば)
----(今度は私からちぃに、千草に会いにいけるだろうか。)
----(ちぃにも千草にもあんな表情をさせないようにできるだろうか。)
----(二度と離れることはなく一緒にいられるだろうか。)




(魂が惹かれ合っているというのなら)
(私は何度生まれ変わっても千草の側に居よう。)


----ちぃ、泣いておるのか?
----(千草は泣き止んだだろうか。)

良かった、目を覚ましたんだね。
麗音が俺を庇って怪我したんだ、泣くに決まってるでしょ。

----この程度で私が死ぬわけなかろう。
----悪いと思うなら酒を持ってこい、酒を。

駄目だよ。
完治するまではお酒も仕事も禁止。

----なッお酒は百薬の長というだろう!?

いや怪我だからね。
傷跡が残って嫁の貰い手が無くなったらどうするの。

----そこは問題ないぞ?
----私が嫁に言って娘が生まれるということは確定事項だからのう。

その貰い手が居なくならなきゃいいけどね。

----ふふん、妬いておるのか?

・・・暫く外出も禁止。

----!!?


<END>

2015年4月7日火曜日

神と悪魔と人間とがワチャワチャする話。

男:女(:不問)=3:4(:1) 計7人+1人

シリアス

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ハトゥール
女:王的な何か
セリフ数:30

ソルフ
女:踊り子的な何か
セリフ数:42

ジュビア
女:歌唄い的な何か
セリフ数:23

ルプス(ランレン)
男:執事的な何か
セリフ数:14+13=計27

リッター
男:騎士的な何か
セリフ数:21

トイフェル
男:執事的な何か
セリフ数:19

ニンファ
女:メイド的な何か
セリフ数:20

様子(ナレ)
セリフ数:14

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※イメージ
 道化が話すような、少し芝居がかったような感じ。
 劇場のステージ上、スクリーン越しで2人の影が会話する。

■ニンファ
ねえトイフェル、ハトゥールのお嬢様のお名前はなーに?

■トイフェル
ニンファ、前も言っただろう?
ハトゥールというのは家の名前であり王の名なんだよ。

■ニンファ
それは面倒ね。
ハトゥール様と呼んだら王族皆が振り返ってしまうんじゃない?

■トイフェル
それは大丈夫。
だって王位継承の時にハトゥール様以外は処刑してしまうのだから。

■ニンファ
ああ悲しい、悲しすぎる。
ニンファ達が居るけれど、ハトゥール様とお話する人が減ってしまうわ。

■トイフェル
ああそれも大丈夫。
居なくなった数だけ遊び相手を募集するんだ!

■ニンファ
なるほど、だから今日はこんなにも賑やかなのね!

■トイフェル
さあ僕らもハトゥール様の所へ向かおう!

---------------------------

■様子
沢山の人で賑わう大通り。
そこから少し外れたところに建っている小さな家の扉が勢い良く開かれた。
家の住人と思われる女は特に驚いた様子もなく椅子に座って寛いでいる。
扉を開いた人物はその光景を見て脱力したようにため息を吐いた後、
キッと表情を引き締めて住人へと近寄った。

■ソルフ
ジュビア!
何のんびりお茶を飲んでいるの、今日はシェルタの日よ!?

■ジュビア
えぇー、面倒。
あれって希望者制でしょ?
私は今の暮らしで十分満足しているし。

■ソルフ
別に貴女の暮らしのことなんてどうでもいいの。
ハトゥール様に選んでもらえれば罪人ではなく御使いとしてルプス様の祭壇に行けるのよ?

■ジュビア
ルプス神への信仰心が凄いのは関心するわー・・・。
でもリッヒテンの翌日にシェルタなんて、無理!
リッヒテンは相当忙しかったのにソルフがそこまで元気なのがビックリだよ。

■ソルフ
昨日は今日のために頑張ってレクイエムを舞ったの!
お願い、後でお礼するから今日は頑張って!

■ジュビア
お願いと言いつつも椅子ごと私を引き摺るその手はなんだ。
・・・・はぁー、仕方ないな。
滅多にないソルフのお願いのためにもうひと踏ん張りしますか。

■ソルフ
ありがとうっ、そうと決まったら走るわよ!

■ジュビア
・・・・・あ、今ちょっと後悔した。

---------------------------

■様子
綺羅びやかな格好で意気揚々と城へ向かっていく人々。
城の広間では到着した人々が得意とする技術を披露している。
広間の2階では1人の少女が不満そうに頬杖をついていた。

■ハトゥール
リッター、私はリッヒテンもシェルタも不要と言ったわ。

■リッター
いいえハトゥール様、王の名を語れる者は1人のみ。
それ以外の者が名乗る事は罪とされます。

■ハトゥール
私が王位を継承するまでは皆で名乗っていたのに?
ずっと私だけの名前が欲しかったけれど、
こんな事なら「ハトゥールのお嬢様」のままで良かった。

■リッター
ハトゥール様!
人々が居るこの場でそのような発言はいけませんっ
もし聞かれでもしたら貴女に影響があるのです!

■ニンファ
そうですわ、ハトゥール様。
「王位継承後は無駄なものを一掃する」という決まりです。

■トイフェル
そうですよ、ハトゥール様。
「心の穴を埋める為に処刑した人数だけ御使いを増やしても良い」という、
ルプス神の優しさに感謝するべきです。

■ハトゥール
まるで王というより神のペットね。
処刑させたのはルプスじゃない。

■リッター
ハトゥール様、それ以上は。
王に仕える身として貴女を咎めなければなりません。

■ハトゥール
・・・わかった。
まったく、リッターは昔から決め事に忠実すぎるのよ。

■ランレン
で、お気に召す2人は決まったのか?不機嫌な女王様。

■ハトゥール
・・・ランレン、やっときたの?
リッヒテンであれだけ嘆いていたやつらがシェルタじゃ嬉々としてるの。
そんなのと話したって面白いわけ無いじゃない。
富や名声が目当てじゃなければ誰でもいい。

■リッター
またそのような・・・
貴女の話相手でもありますが、ルプス様の御使い選びでもあるのですから。

■ランレン
ま、そうなると思って志望者に成りすまして理由を聞いてきた。
大体が富と名声目当てだが、面白いのがいくつか居たぞ?

■リッター
ランレン、遅いと思ったらそんな事をしてたんですか。
まあいいでしょう。ハトゥール様がそれで決めることができるのであれば。

■ハトゥール
たまには役に立つのね。
えーと・・・じゃあ、この2人にするわ。

---------------------------

■様子
数週間後。
城の中枢にある庭では、華やかなお茶会が開かれていた。

■ジュビア
それで、お金や名声が目当てじゃなかった私達が選ばれたという訳か。

■ニンファ
けれどハトゥール様?ソルフはルプス神目当てですよね?

■ハトゥール
ルプス神はいいのよ、私が興味ないから。
それに、通達を出した直後に祭壇に向かっていったソルフは面白かったし。

■ソルフ
あ、あれは嬉しくなってつい。

■ジュビア
ソルフ・・・あの場は御使いが祈る場でもあるけど、
リッヒテンが行われる場所でもあるのによく平気で・・・。

■ソルフ
リッヒテンはルプス様のご意向ですもの。
内容がどうだろうと、全て知った上で信仰しているわ。

■ハトゥール
ほぼ毎日あの場に出入りしているのなんて、
ランレンとソルフだけじゃない?

■ランレン
お呼びかな?女王様。

■ハトゥール
いいえ呼んでいないわ地獄耳。
けれど、来たついでにお茶のおかわりでも貰おうかしら。

■ソルフ
ランレン、手伝うわ。

■ランレン
ああ、ありがとう。
ついでに、俺が居なくてもできるようひと通り説明しよう。

■ソルフ
助かるわ。
誰かにやって貰うのって落ち着かなくて。

■ジュビア
えー、そう?
私は面倒だから正直楽できて嬉しいかなー。

■ランレン
客人に喜んでもらえるなら何よりだ。

■ハトゥール
ほら、話してないで行ってきて。
お茶が無くなってしまうじゃない。

■ランレン
はいはい、我らが女王様。

---------------------------
■様子
2人が退席してから数十分後。
残っていたお茶やお菓子もほとんど無くなった頃に会話が再開した。

■ハトゥール
ねえジュビア。
貴女達は今年のリッヒテンでレクイエムを歌い、舞ってくれたのでしょう?

■ジュビア
ん・・・?そうそう、人生初のリッヒテンでまさか選ばれるなんて予想外。
ソルフは選ばれて嬉しいけど祭壇には入れないって落ち込んでたかなー。

■ハトゥール
私はその時祭壇に居たからジュビアの歌声は聞こえていたけど、
ソルフの舞は見れなかったのよね・・・。
リッヒテンの立ち会いよりそっちを見たかったわ。

■リッター
ハトゥール様。
たとえ御使い相手だろうと、そのような発言はよろしくありません。

■ハトゥール
リッター、この手の話題になると突然現れるけど、
貴方もランレンと同じで地獄耳なのかしら?

■リッター
ランレンと一緒にしないでください。
たまたま、お茶のおかわりを持ったソルフ様と遭遇したのでお手伝いしたまでです。

■ソルフ
助かったわ、リッター。
ランレンは少し用事ができたとかで先に部屋へ戻ると。

■リッター
全く、まずは目の前の仕事を終らせてから行って欲しいものです。

■ソルフ
仕方ないわ、今宵は新月・・ルプス様の力が不安定になる日ですもの。
信仰方法によっては家に籠る人も居るわ。

■リッター
ああ、新月でしたか。
ランレンはああ見えて信仰深いですからね。

■ハトゥール
なら今夜は話し相手が居ない分お祈りが早く終るわよね?
良かったら私の部屋で舞を見せてくれない?

■ソルフ
ええ、いいわよ。
ジュビアはどうする?

■ジュビア
あー、私は夜は眠くて声が出ないからレコード再生でお願いしようかな。

■ハトゥール
わかったわ。
ジュビアには絶好調の時に聞かせてもらおうかしら。

■ジュビア
りょ、りょーかい。


---------------------------

■様子
夜、ソルフが祭壇でルプス神へ舞を捧げている。

■ソルフ
ふう・・・今夜はランレンも居ないしこれくらいでいいかしら。
って、私はルプス様に祈りを捧げにきてるんだからランレンは関係無いじゃない。
ほぼ毎日話してたから日課のようになってしまったわ。

■ルプス
ああ、甘い香りがする。

■ソルフ
?、・・・・その声、ランレン?
貴方、新月の間は部屋に篭ってるんじゃ・・・。

■ルプス
!ソルフ、か?

■ソルフ
ランレン・・・貴方その格好、信仰しすぎてルプス様の真似っ子?

■ルプス
いや、これは・・・。

■ニンファ
ランレンはルプスなんだよ、ソルフ。

■トイフェル
ルプスがランレンなんだよ、ソルフ。

■ソルフ
え、一体どういう事?

■トイフェル
僕はルプス神と契約している悪魔さ!

■ニンファ
ニンファはトイフェルの妖精さんっ

■ルプス
ニンファ、トイフェル。
話していいとは言っていない。

■ソルフ
本当・・なの?
ランレンが、ルプス様?

■ルプス
ああ・・・信じられないとは思うがな。

■ニンファ
ルプスは神っていうけど神様じゃないよ、
人間の想いだけを食べる狼さん。

■トイフェル
動物とは違うよ、狼の形をした何か。
僕達とも少し違うんだ。

■ソルフ
ルプス様が神ではない・・・?

■ルプス
・・・・そこまで喋るのかお前らは。
俺達は人から発せられる想いを食べて生きている。
食べ歩くのが面倒でニンファやトイフェルが俺を神へ仕立て、
王という存在を作る事で沢山の想いを信仰という形で1箇所に集めることができた。

■ソルフ
それじゃあ、王はルプス様の代わりに人々を導くためじゃなくて
貴方達のご飯のために存在しているの?

■ニンファ
想いを食べるのは王のためでもあるんだよ、ソルフ。

■トイフェル
沢山の想いですぐ壊れてしまう王を、
次の王がが立派になるまで長持ちさせるためなんだよ、ソルフ。

■ソルフ
次の王が立派になったら・・・?

■ルプス
皆の想いの矛先が親から子へと移る。
食の対象が子へ変わるだけだ。

■ニンファ
けれど沢山王族が居たら想いが少しずつバラけちゃうから処刑して1人にするの。

■トイフェル
けれど人が減った分想いが溢れてしまうから受け皿を増やすんだ。
だいたいの受け皿は前王と一緒に潰れてしまうから面倒だ。

■ソルフ
それが・・・リッヒテンとシェルタというわけね。

■ルプス
ふっ、失望したか?

■ソルフ
・・・いいえ、これはルプス様が生きるために行っている事ですもの。
それでもルプス様が居たからこそこれまで国が成り立ってきた。
私は変わらずルプス様を信仰するわ。
ねえ、色々聞かせてくれる?

■ルプス
・・・ああ、ありがとう。

---------------------------
■様子
ハトゥールの執務室。
部屋は物音一つでも響くほどに静まり返っている。

■リッター
ハトゥール様、もう月が沈んでもおかしくない時間です。
お体に障ります、そろそろご就寝を。

■ハトゥール
いいえ、リッター。
約束したソルフが来ていないのよ、すれ違いになったらどうするの?
それに新月だろうと必ず来るランレンだって来ていないわ。

■リッター
ハトゥール様、それは・・・

■ハトゥール
言わないで、それも頭によぎったわ。
けれど先に約束があるのなら私とはしないわ。
眠いのであればリッターは先に寝てもいいのよ?

■リッター
いいえ、仕える者として主より先に寝るなどありえません。

■ハトゥール
・・・そう。
ならそんな所に立ってないで、座って暇つぶしの相手をして頂戴。

■リッター
ええ、喜んで。
たとえ日が昇りまた沈んだとしても、お供いたします。

---------------------------
■様子
翌日朝、ジュビアが談話室へ向かうと、そこには誰も居なかった。
昼になっても、夕方になっても、毎日集まっていたメンバーは一向に姿を見せない。
談話室の様子と相対的に城の人々は慌ただしく走り回っている。

■ジュビア
土地の崩壊や川の氾濫ね、そりゃ忙しくて談話室なんて来れないよなー。
皆忙しいみたいだし、私は今日も早寝しようかな。

---------------------------
■様子
夜、足音を立てないよう静かに祭壇へと向かうソルフ。
目的の扉までたどり着くと、1つの光が灯っている。
それは、ハトゥールが持っているランプだった。

■ハトゥール
ソルフ、今日も寝ずのお祈り?

■ソルフ
!ハトゥール様、何故祭壇に?

■ハトゥール
・・・約束、したじゃない。

■ソルフ
約束?

■ハトゥール
ああ、覚えていないのね。
けれど確かに約束したわ。
舞を見せてくれると、私はずっと待っていたのに。

■ソルフ
ご、ごめんなさい。
私ったらお祈りに熱中しすぎてしまって。

■ハトゥール
いいのよ、ルプス神に関わってる時の貴女は楽しそうだから。
けれど新月だろうと私が寝る前に一度は来ていたランレンも来ない・・・。
二人で会っていたのでしょう?何故、わざわざ偽っているの?

■ソルフ
い、偽ってなんていないわ。
私はずっとルプス様を想ってこの部屋に居たわ。

■ハトゥール
そう、ならいいわよね。
今日は突然、土地が荒れたり川が氾濫したりしたの。
それを沈めるためにルプス神への供物として貴女の血を使うわ。

■ソルフ
な!?ハトゥール様、待ってください!
私が悪いのであれば謝りますッ・・・ですから!

■リッター
ソルフ様、申し訳ございません。
土地が荒れているという事はルプス神の御心が荒れているということ。
それを沈めるには真っ直ぐ信仰している人物をルプス神の元へ届けるしかないのです。
さあ、祭壇に入ってください。コンフェッシオンの生贄として。

---------------------------

■様子
ソルフはずっと祭壇に設置された檻の中に入れられ、
リッターから城中の人々へコンフェッシオンとその生贄について伝えられた。
城中の人たちは土地が落ち着くと喜び、普段の生活へと戻っていく。
その光景を見てジュビアはリッターへと問い詰める。

■ジュビア
ちょ、待って待って!
なんでソルフが生贄にならなくちゃいけないの!
それに土地が荒れたからって人を祭壇で殺してどうにかなるわけ!?

■リッター
ハトゥール様の決定です。
本来なら女王の命に背いた罪でリッヒテンを行おうとしていたのですが、
ハトゥール様はソルフ様の信仰深さに免じてリッヒテンではなくコンフェッシオンにしたのです。
罪人ではなく人々を救う柱となれるだけいいでしょう。

■ジュビア
そんな!ソルフは悪いことなんてしてない!
・・・私、抗議してくる。

■ニンファ
ソルフはとんでもない事をしてしまったんだよ、ジュビア。

■トイフェル
よりにもよって新月の時にやらかしたんだよ、ジュビア。

■ジュビア
貴方達、今までどこに!
それに・・・とんでもない事って、どういう事なの?

■ランレン
・・・お前は知らなくてもいい事だ。

■ジュビア
私が知らない間にいったい何が起きたっていうのよ。

---------------------------

■様子
祭壇。リッヒテンで罪人が処刑される位置に1つの牢屋が存在している。
その中では祭壇に向かってひたすら祈りを捧げているソルフの姿が見えた。

■ソルフ
どうして・・・。
たった一度の過ちだったじゃない。

■ランレン
新月の日に、俺が女王に集まった想いを食さなかったせいだ。

■ソルフ
ルプス・・・いえ、その姿の時はランレンよね。

■ランレン
ああ。
新月の日は信仰のせいで皆の想いが爆発的に高まる。
それを食さず女王の中で留めさせてしまった。
それにハトゥールの中で生まれたマイナスの想いが加わり、
膨大な憎悪となってしまったのだろう。

■ソルフ
それじゃあ、本当に私のせいで・・?

■ランレン
いいや、俺のせいでもある。
お前との会話が楽しくて、日が昇る事にも気づかなかった。

■ソルフ
ええ、私も楽しかったわ。
ねえ・・・大地が荒れたり川が氾濫するのって、
ランレンが荒れてるからだと言っていたけれど・・・?

■ランレン
俺ではない、女王だ。
女王の中で憎悪となった想いが漏れだし、天災となったんだ。
リッヒテンやコンフェッシオンは王に集まりすぎた想いを罪人や生贄へ移し、
その命で断ち切るという役割を持っている。

■ソルフ
そう、やっぱり私のせいじゃない。
今まで自然に行われてきた事をねじ曲げてしまった私の。

■ランレン
大丈夫だ、俺がなんとかしよう。

■ソルフ
・・・・、期待しないで待ってるわ。

---------------------------

■様子
コンフェッシオンの時間になり、祭壇にはいつかのお茶会のメンバーが集まっていた。
ソルフは真っ赤な服装に着替え、ジュビアは鎮魂の歌を歌うため真っ青な服装で訪れている。
ハトゥールは始終無表情で準備の様子を眺めていた。

■ニンファ
ハトゥール様のドレスは真っ黒でまるで冥王だね、トイフェル。

■トイフェル
いっそ冥王に仕立て上げてみようか、ニンファ。

■リッター
ニンファ、トイフェル、ふざけていないでください。
・・・コンフェッシオンが始まります。

■ジュビア
ソルフ、止められなかった・・・ゴメン。

■ソルフ
いいえ、私が悪いのよ。
それにリッヒテンではなくコンフェッシオンなの。
光栄に思わなくっちゃ。

■ジュビア
・・・・。

■ニンファ
ではではコンフェッシオンの始まり始まり!

■トイフェル
本日の生贄はソルフ!
ルプス神を心から信仰していて生贄には持ってこいの女性!

■リッター
ニンファ、トイフェル!
神聖なるコンフェッシオンで何を!?

■ニンファ
本日の主役であるルプス神ことランレン!

■ジュビア
・・・え?ルプス神がランレン?
いやいや、あれよね。
ルプス神役っていう感じよね。

■トイフェル
憎しみに潰れてしまいそうな可哀想な女王はハトゥール様!

■リッター
ッ・・・二人共いい加減やめなさい!

■ニンファ
女王を守護するリッターに立ち会いのジュビア。
ああ可哀想。二人だけが真実を知らないのね。

■トイフェル
ハトゥール様はランレンの教育のおかげで気付いているのでしょう?

■ハトゥール
・・・ランレン、いえ、ルプス。
この煩い悪魔達を黙らせて頂戴。

■リッター
ハトゥール様、一体何がどうなって・・!

■ルプス
やはり気付いていたか。
なのになぜコンフェッシオンなど行う?

■ハトゥール
ランレンが来ると身体の中にある重い何かが軽くなった。
幼い頃から信頼する貴方と話すからだと思ったわ。
けれど、あなた達3人ともお祖父様の若い頃の写真から
風貌がこれっぽっちも変わっていないのよ。

■ジュビア
写真・・・?
リッヒテンは一切の穢れを無くすために罪人の持ち物全ても焼いてしまうのに?

■ランレン
・・・あいつ、女王の部屋に隠していたのか。

■ハトゥール
お祖父様もビックリよね。
大切な友人との思い出を残そうと頑張った結果、
その友人の正体を暴くきっかけになるんですもの。

■ソルフ
待って!ルプス様は悪い事なんてしていないの。
私はこのままコンフェッシオンを実行されてもいいから、この人はこのまま・・・!

■ジュビア
ソルフッ、いくら信仰してるとはいえそこまで!

■ハトゥール
ねえ、私の中でドス黒いものがグルグルしているような気がするの。
これってルプスのせいなんでしょう?

■ニンファ
そうだよ、ハトゥール様。
全部全部ルプスのせい。

■トイフェル
さあさあ、ハトゥール様。
この鎌で生贄を捧げましょう。

■ハトゥール
そうね。黒いものが重くて重くて仕方がないの。
早く捨て去ってしまいたい。

■ジュビア
待って、お願い・・待って!!

■様子
ハトゥールがソルフの前に立つと、
トイフェルが何処からか持ち出した大きな鎌をハトゥールへと渡す。
それを受け取った彼女はジュビアの静止を一切聞かず、大きく振り下ろした。

■ソルフ
うぐっ・・・ハ、ハトゥール様の持っていた黒いものが流れ込んでくる。
こんなにも、こんなにも苦しいものなのね・・・ゴメンナサイ、ゴメンナサイ。

■ルプス
ソルフッ・・・!、これは一体・・・。

■ニンファ
大成功、大成功!
新たな信仰対象が生まれたよ、トイフェル。

■トイフェル
嫉妬や憎悪の化身のソルフ。
神様、なんてものじゃない。
ルプスとお揃いだよ?よかったね、ソルフ!

■ソルフ
一体何が・・?
私は・・・ハトゥール様に鎌で貫かれて・・・?

■ルプス
そうだ、そうだった。
俺もこうやって生み出された。
悪魔の暇つぶしのために、人の想いを貪り食う存在として。

■ニンファ
けれどそれも終わりだよ、ルプス。
ルプスはソルフの甘い甘い想いでお腹いっぱい!

■トイフェル
飽きるまで数千年かな、ルプス。
ソルフがルプスに飽きるまで何年かな?

■ソルフ
私の、想いだけでルプス様は生きていけるの?
・・・私が見離されるまではずっと一緒に居られるの?

■ルプス
・・・ああ、一緒だ。
何千年経とうとお前を飽きる事なんて無い。

■ソルフ
ええ、私も何千年経とうと貴方を想い続けるわ。
たとえその想いが貴方に食べられてしまおうと有り余るくらいに。

■ジュビア
何、何なの?もう訳がわからない。
・・・そうだ、夢、これはきっと夢よ。
シェルタからぜーんぶ夢。長い夢。
家に帰って寝て起きたらまた歌のお仕事しなくっちゃ。

■ソルフ
ジュビア、待って!これは夢じゃ・・・ッ

■ニンファ
無理だよ、ソルフ。
ジュビアはフツーの人なんだから。

■トイフェル
そうだよ、ソルフ。
ジュビアは今までの事を全部夢だと思ってフツーに暮らすんだ。

■ソルフ
そんなッ・・・ハトゥール様、ハトゥール様は!?

■ハトゥール
ねえ、リッター。
今日はなんだかとても身体が軽いの。
久しぶりに貴方のお弁当でピクニックに行きたいのだけれど?

■リッター
ハトゥール様、まだコンフェッシオンの最中です・・・!
ハトゥール様ッ・・・ハトゥール様?

■ハトゥール
あら、様付なんてなんの遊びかしら?
リッター、早くして頂戴。

■リッター
ッ・・・・、かしこまりました。
ハトゥール、国外にある僕の家までピクニックです。
・・・皆様、ハトゥール様はここへ帰しません。さようなら。

■ソルフ
ハトゥール様に・・・一体何が起こっているの?

■ルプス
トイフェルの鎌のせいだ。
女王の個人的な想いと人々の想いが複雑に絡み合っている状態のものを
強制的に全てソルフへと移したんだ。
廃人にならなかっただけマシだろう。

■ソルフ
そう・・・・・ハトゥール様、ごめんなさい。
それでも私はルプス様と生きられる手段を頂けて感謝します。

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■様子
国を見渡せる丘の上でジュビアが1人佇んでいる。
ジュビアは想いを断ち切るように目を伏せると、国とは反対の方向へと歩き始めた。

■ジュビア
ねえプラード、貴方と最初に作ったこの世界は失敗だったのかな。
人間から作られた存在を利用して悪魔達が神と同等の力を得た。
もう私が観察する必要も意味も無いみたい。
わ、私のせいじゃ無いわよ!?
はいはい、お小言は貴方が観察している世界に移動してから聞きますって。
それじゃ、バイバイ。

■様子
ジュビアがスキップするように一歩を踏み出すと、先が見えないほどの大雨が降り始めた。
その大雨でジュビアの姿は見えなくなり、レクイエムのリズムを取る鼻歌も大きな雨音に掻き消えた。

----end

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※用語作成の参考:BABEL~世界の言葉~ http://www.tekiro.main.jp/
■人物用語
・ハトゥール:日本語訳:猫
何百年と続いた王家のサイクルをぶち壊した女王。
ランレンに今までの王の生い立ちや死に際の言葉を聞いたため信仰度0。
信仰度が低い=人々の想いに耐えるキャパが小さいせいで
たった1度、ルプスが食べ忘れた事により暴走。
王としての想いと城に居た人たちへの想いを持って行かれたため
リッターに連れられて国外へ。
リッターへの特別な想いが残ったおかげで廃人を逃れたとか。

・リッター:日本語訳:騎士
幼いころからハトゥールの護衛として一緒に過ごしてきた。
決まり事には忠実だが、全てはハトゥールのためであり神は信じていない。
周囲の突拍子もない出来事に振り回されて入るが、
ハトゥールをお持ち帰りできたので得はしているのではないかと思う。

・ソルフ:日本語訳:赤
信仰が深すぎてやらかした踊り子。
城に行くまではジュビアの歌で舞い、お金を稼いでいた。
信仰度が深すぎたせいで信仰度0のハトゥールが抱えていた想いを根こそぎ持ってった。
トイフェルの悪魔の鎌によって想いを身体に定着させられ、
ルプス同様の身体へと変化した。

・ルプス:日本語訳:狼(ランレン:日本語訳:人狼)
初代の王の親友。人間時代の名前がランレン。
トイフェルに利用されて神のような存在に祭り上げられた。
それ以降は想いを食さないと存在できない身体となり、現在に至る。
現状を維持しないと生きていけないが、同じ事の繰り返しで限界が来ていたために
ハトゥールにこれまでの王の末路を語ってしまった。
ソルフはシェルタのアンケート時の一目惚れだったりする。
ソフルのランレンへの想いは甘い恋の味だとか。

・トイフェル:日本語訳:悪魔
今回の首謀者。神同等の力を手に入れて遊びたいがためにやらかした。
国中を駆けまわって王への想いを集め、ランレンを想いを食す何かに変えた。
ハトゥールが居なくなったため次の王が生まれなくなってしまったが
ソルフという存在が生まれたので新しい信仰対象(暇つぶし)ができて結果オーライだと思っている。

・ニンファ:日本語訳:妖精
トイフェルと兄妹のように一緒にいる妖精。
妖精だがトイフェルの影響で考え方はほとんど悪魔。
自分はトイフェルの人形であると思っている。

・ジュビア:日本語訳:雨
ただのんびり生きていたかった歌い手。
城に行くまではソルフが踊るための歌を歌ってお金を稼いでいた。
ぶっちゃけるとこの世界を作った神に等しい存在なのでルプスは信じていなかった。
最後の最後まで人として演じ、面倒事から脱走して別世界へと移動した。

プラード:日本語訳:草原
名前だけ出てきた存在。男。
ジュビアと一緒に世界を作った。
ほとんど世界を放置していたジュビアに小言を言っている。
他の世界で何をしているかは不明。

■用語
・リッヒテン:日本語訳:裁き、断罪(処刑)
物語上の意味:浄化の日。
王権が移る際、権力分散を回避するため王以外の王族を処刑。
罪状は王でもない者が王の名前を語った事とする。
遺書等が残されぬよう、所有物全てが焼却される。

・シェルタ:日本語訳:選択
物語上の意味:選別の日。
リッヒテンで家族を失った王の傷を癒やすために失った人数分を城へ招き入れる。
最大の絶望から選ばれた分、王から依存されやすく、富も名声も手に入りやすいとか。
トイフェル曰く、ルプスのご飯を作るための調理器具(王)の修繕。

・コンフェッシオン:日本語訳:告白(こくはく)、懺悔(ざんげ)
 物語上の意味:贖罪の日。
ルプスが想いを食べなかったりして溢れだしたものが世界に影響を及ぼす。
それを沈めるために深く信仰している誰かを生贄として捧げる。
生贄は信仰の深さ故に無意識に王に貯められた想いをルプスへの手土産として纏めて奪い、
命と一緒にその想いを消滅させる。ニンファ曰く、ルプスの残飯処理。

2015年3月25日水曜日

腐れ縁の始まり。


※注意事項
アンソロ的な感じです。
こちらは本編(原作?)に一切関係しておりませぬ( ゚д゚)

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人で賑わう江戸の町。

周囲の建物とはだいぶ雰囲気も大きさも異なる建物に1台の馬車が止まった。

馬車の音を聞きつけたのか、複数人が建物から出てくる。


「おお蜜柑、よく来たな。」

「はい、お父さん。お仕事お疲れ様です。」


父と呼ばれた男性は馬車に乗っていた少女を抱きかかえるようにして地面へ降ろす。


「急に悪かったわね。今日に限って2人とも逃げ出しちゃって。」

「お久しぶりです、お母さん。姉さんも兄さんも何故そこまで?」

「忍に顔を覚えられると逃げられなくなると・・・まったく、誰に似たんだ。」

「あら、昔の貴方にそっくりじゃない。」

「!ゴホン、今日は風魔の次期当主候補との顔合わせだ。」

「風魔?家で雇っている?」

「ええ、本当なら長男であるあの子が出なければいけないのだけど・・・」

「大丈夫です、最後には私になりそうなので。」

「それは、当たってほしくない勘だな。」


父親は蜜柑の発言に苦い顔をすると、蜜柑に家の中に入るよう促した。

新しく建てられた洋風の建物が多い中で

代々伝わってきた蜜柑の家は純和風と言いたい所だが、

増改築の際は西洋のデザインを取り入れたりしている。


「また、洋風の部屋が増えましたね。」

「そうなの!カタログ見ちゃってつい」


まるで今の時代を圧縮したような家だ、という言葉を飲み込んで

蜜柑は新しい服を買ったかのようなテンションで家について語る母親の話しを聞いた。


「その話しは寝る前にしなさい。風魔を待たせている部屋に着いたぞ。」


ノックも合図もせずに父親が扉を開くと、

待たされていた間は一切動いていないのではいかと考えるほどに

微動だにせず正座している男性と少年が居た。


「?、木賊さんは以前にお会いしました。」

「蜜柑様・・・以前にも申したが、風魔小太郎とお呼びください。」

「それは社長や番頭のような役職と一緒だと聞いたので。」

「蜜柑様には敵わぬ・・・本日は次期当主候補の常磐を紹介に。」


蜜柑は木賊の横に居る少年へと視線を移す。


「・・・候補?」

「まだ儀式を終えておらぬ故・・・。」

「小太郎、蜜柑に儀式の話はまだ早い。」

「おっと、これは失礼。」


任命式でもするのだろうかと蜜柑は考え、常磐をじっと見た。


「常磐はまだ見習い故、当主からの命令は無理だが蜜柑様のご命令で忍の使命を経験させたい。」

「何を言うか。既にお前に依頼した一部をやらせている癖に。」


蜜柑は視線を常磐から父親と木賊へと移すと会話をじっと聞いた。

正直のところ、先程から話さない常磐よりも大人達の会話の方が興味があった。


「まあいい。蜜柑、何か命令してみなさい。」

「・・・・・。」


父親の言葉に蜜柑は言葉を詰まらせた。

初対面の少年に命令をするなど考えたこともない。


「ねえ、2人が居ないから呼んだけれど・・・蜜柑にはまだ少し早いんじゃ。」

「・・・・ねこ。」

「蜜柑?」

「江戸のとても端にある猫カフェのグッズ、いくつか見繕って来てください。」


蜜柑は自らの発言に両親がポカーンとしている間に常磐へお金を渡し、

受け取った常磐は無言で部屋から出て行った。


「ほう、常磐をそう使うか。蜜柑様はいい当主になるのでは?」

「い、いや。当主になるのは長男だ。」


木賊は外を眺めている蜜柑を見てニヤリと笑う。

父親は木賊の発言に対し、自身の無い発言をするしか無かった。



---------------------


「常磐、今日こそは噂の妓女さんの作る猫雑貨とお菓子を。」


蜜柑が滞在を開始して早一週間。

命令するのにも慣れたのか、屋根裏に居るであろう常磐へと話しかける。


「蜜柑様、以前にも申したがお菓子は妓楼の主が作っている。」

「ああ、そうでした。そして様付はやめてください。常磐が言うと寒気がする。」

「・・・・・・・・・・・承知した。」

「はやく行って下さい。」

「そうしたい所だが、どうやら妓楼の主が直接来たようだ。」

「・・・え。」


蜜柑は常磐の言葉を聞くと寝転がっていた身体を起こし、ズリズリと窓際へと移動する。

ギリギリ見える玄関口には見慣れぬ青年が立っている。


「蜜柑殿、向こうに行っても宜しいか。」

「はい。猫雑貨を待たせる訳にはいかないです。」


カタリと少しの音がした後、部屋が静かになった。

常磐が客人の元へ向かったのだと認識すると、蜜柑は玄関へと向かう。

玄関に近づいていくと、聞き慣れてきた声と初めて聞く声が聞こえる。


「雑貨がやっとできたからね。いつも来てくれてるのが申し訳ないからこちらから来たんだ。」

「それくらい問題は無いのだがな。進捗を確認するのも俺に与えられた命令だ。」

「随分と不服そうな言い方ですね。」


聞こえてきた常磐の言葉に少しむっとして2人の方へと向かう蜜柑。


「君が蜜柑ちゃんだね。妓女の作る物を買ってくれてありがとう。」

「いえ、お猫様グッズ制作に職業は関係ありませんから。」

「・・・常磐の情報通りだね。オレは清白千草。職業は知ってるよね。」

「はい。表でも裏でも?家とやりとりしているとか。」

「それはまあ・・・色々とね。」

「千草、今日は忙しいのでは無いか?」

「ああうん。でも妓女が早く届けたいってお願いしてきてね。」

「丁度常磐を向かわせようと思っていたんですが・・・ありがとうございます。」

「いいや、仕事の息抜きにもなるし。はい、雑貨とお菓子。」

「これが・・・珍しく常磐が褒めたお菓子。」

「蜜柑殿、大げさだ。男にしてはよく作ったと言っただけだ。」

「それでも珍しいので。後ほど頂きます。」

「それじゃ、あまり抜けると大変だからオレは戻るね。」

「はい、ありがとうございました。常磐、お店の手伝いしてきてください。」

「・・・・・・・・承知した。」


これ以降、千草のお菓子の代わりに常磐が店の手伝いをさせられているのは別のお話。


---------------------


「・・・へえ、それが蜜柑と常磐、千草さんとの出会いっすか。」

「なんというか、その頃から今の関係が出来上がっていたのだな」

「今となっては、便利なオモチャは夜子にとられてしまいましたけどね。」

「な、なーに言ってるんすか!いつでも常磐をこき使っていいんっすよ!?」

「夜子、呼んだか。」

「べ、別に呼んでないわよ!とうか女子会なのに何普通に入ってきてるのよ!」

「これ夜子、素に戻っておるぞ。修行が足らんな。」

「姐さーん・・・」

「こらこら、麗奈だって最初の頃はそうだっただろう?」

「ち、ちぃ!いつからそこに!?」

「ついさっきね。お菓子を作ったから持ってきたんだけど。」

「ほう、今日はロールケーキか!」

「千草さんもすっかり麗奈にばかりかまけて。」

「み、蜜柑!」

「はぁ、また私専用のオモチャを探さないとですね。」


---------------------


「くしゅんっ」

「兄ちゃん風邪ひいたん?」

「いいやっ梔子の男子たるもの風邪なんて!」

「この間、真夜中に乾布摩擦して熱でたばかりやん?」

「うぐ・・・蜜柑さんには秘密だぞ。」

「はーい。」


---------------------

「なんて出会い方ですから、これは皆さんの冗談ですよね?今日はエイプリルフールでもハロウィンでもないんです。そんな血糊で驚かそうとしても無駄です。そんな地面なんかで寝転がっていたら風邪をひきますよ。ほら、はやく起きてください。・・・はや、く。」

「権力を振りかざす当主といっても、所詮は守られるだけの小娘。手足となる駒さえ居なくなれば無力だな。さあ、残るはお前だけだぞ?なんだその顔は。我が息子ながら周囲の死には動じぬくせに愛する者の死には耐えられぬか?ククク、来い、愛する者のためにこの術を取り合おうじゃないか・・・!」


-------end

2015年3月5日木曜日

王道RPG的な世界で1人の少女が平和のために頑張る?お話


男:女(:不問)=1:1(:1) 計2人+1人
シリアス

(様子=10) ※様子(ナレ)の語りを増やす等の編集はおkです。
男=17
女=14

----------------------------------------------
■様子
とある屋敷、個室とはいっても
通常より一回りも二回りも広い部屋の真ん中で
少女がお菓子を摘みながら楽しそうに話している。

■少女
今日はね、全員女の子のパーティーが来たのよ。
お菓子を食べたり、今まで通ってきた町や村の
流行ファッションのお話とかしたり・・・とても楽しかったの!

■男
ほう?
それはそれは、俺も話してみたいものだ。

■少女
残念ね、もう居ないわ。
・・・というか、私じゃ不満なわけ?

■男
ふっ、貴様がここに居る時点でもう居ないのは分かっている。
私には今のこの時間で十分だ。

■少女
ふふっ、わかっているならそれでいいのよ。

■様子
少女は話し相手である男の返答に満足した様子で立ち上がり、
残っていたお菓子を手早く包んで鞄へと入れた。

■男
おや、もういくのか?

■少女
今夜は物好きな誰かさんが毒抜きしたお肉を食べるのでしょう?
間違って私も、なんてなったら嫌ですもの。

■男
貴様がここに来るようになって半年だ。
そろそろ料理人も覚えるだろう。

■少女
それでも嫌!前みたいなのは御免だわ。
それに、今日使った薬草の調達とかもあるし、また明日には来るんだから。

■男
そうだな。また明日にでも話の続きを聞くとするか。
今日はまだ森が殺気立っている、護衛を付けよう。

■少女
ええ、ありがとう。

■様子
少女は男の手配した護衛と合流すると、
少しばかりザワザワとした森をご機嫌な様子で通り抜けていった。

■男
さて・・・食事の前にその前に軽い運動でもするか。

■様子
少女を見送った男は踵を返すと、反対側にある出入口へと向かう。

■男
・・・3人か。
ふっ、今宵はごちそうになりそうだ。

■様子
次の日、男の屋敷にバタバタと慌ただしい足音が響く。
バタンと大きな音を立てて扉が開いた先には、
いつもと同じ様子でお菓子の並べられた席に男が座っていた。

■男
どうした?そんなに慌てて。
頭に葉っぱまでつけて、せっかくの綺麗な髪が台無しではないか。

■少女
私の髪なんてどうでもいいの!
昨日ここに私がお話してないパーティーが来たのでしょう!?

■男
そんな事か・・・しかたのないことだ。
ここに来る奴らが必ずお前の居る店に行くわけでない。
それに、俺が奴らに負けるとでも?

■少女
そんなことッ・・・・でも嫌なのよ。
貴方の遊び相手は私だけでいいの。

■様子
少女は男の普段と変わらぬ様子に勢いを削がれ、
身体についた葉っぱや枝をはたき落とすといつものように椅子へ座った。

■男
・・・・ふっ、アハハハハッ
そうか。それならより一層頑張るんだな。
貴様は世界に戦争を起こさせないための、誰も気付かぬ供物なのだから。

■様子
少女は男の笑いを不服そうに眺めていたが、続く言葉にゆっくりと口角を上げる。

■少女
ええ、私が貴方の暇つぶしでいる間は世界を支配していてくれるのでしょう?
貴方への恐怖で支配されたこの世界は、
今日は何も起きなかったという安心が平和へとつながる。

■男
半年前に交わした貴様との約束だが、そんな平和でいいなら容易いものだ。
まあ、その言い草の割には楽しんでいるように見えるがな。

■少女
貴方の所へ向かう準備のために立ち寄るパーティーに、
私が毒のある薬草を売っている誰も考えてないでしょう?
でも、いつかバレるんじゃないかっていうスリルが堪らないの。

■男
平和を望む割にはスリルを求める、か。
変わり者だな、貴様は。

■少女
半年も一緒にいるんですもの、貴方の影響なんじゃない?

■男
それなら、完全にこちら側にでもなるか?
人間世界の平和なんてどうでもよくなる。

■少女
嫌よ。私は今の状態がいいの。
あーあ、店に立ち寄らないパーティーがあるなら宿でも始めようかしら。

■男
宿、か。
面白い話の種になりそうだ。

■少女
そう?ならベッドの調達から始めなきゃ!
時間差で効果の出る毒薬でも混ぜたらいいかしら。
そうと決まったら今日はお茶会している場合じゃないわ。
申し訳ないけれどもう帰るわね。

■男
ああ、

■様子
男の同意と取れる言葉に気を良くした少女は嬉々として帰っていった。
その去っていく足音を聞きながら男は口角を上げる。

■男
人間とは単純だが思い通りに動かず、厄介だが面白い。
まだ暫くはアイツで楽しめそうだ。

■様子
翌日、世界を恐怖へと落とした原因を排除しようとするパーティーが宿へと訪れた。
宿の扉が開かれた先には少女が一人、カウンターに立っている。

■少女
いらっしゃい。
ここは薬草とか売るお店でもあるけれど、最近宿屋も始めたの。
この土地に骨を埋めてしまうくらいの接客をしてあげるから覚悟してね!

■様子
宿へ訪れたパーティーは少女の台詞に苦笑しつつも、楽しみだと返答すると
少女の案内のままに部屋へと向かっていった。

翌日、男の元には一通の手紙が届けられた。

■男
今宵はパーティーが散らかしていった片付けのせいでこちらへは来られない、か。
死んでいく者達が泊まる部屋だというのに、律儀なものだな。

おい、森の中枢辺りに死肉が転がっている。
今晩の料理に一品加えろと料理長に伝えておけ。

・・・・ああ、明日の道化話が楽しみだ。

----end

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衝動のままの原文(一部削除)

ある日、女の子が連れて来られました。
凄く泣いていて、迷子のようです。
家を尋ねると、もっと泣いてしまいました。
女の子は、泣きながら言います。

力があるのなら、こんな所で座ってないで喧嘩を止めて欲しい。

人と人との争いは面倒で、今まで只々眺めているだけでした。
女の子は泣きながら、真っ直ぐ相手を見据えます。
見られている方は、単純な毎日が変わるのならと引き受けました。

その変わりに

●遊び相手になれ

女の子との約束を守って、喧嘩を無くしました。

女の子は、近くの村で商人になりました。

女の子は、毎日毎日薬草を売ります。
女の子は、毎日毎日遊びに行きます。
女の子は、毎日毎日薬草を売った人たちの事を話します。

女の子は、毎日毎日静かであることが幸せです。
今日も、薬草を買いに来るお客さんが居ます。

「いらっしゃい。貴方で30人目。」

女の子は、いつもどおり薬草を売ります。
女の子は、31人目が遊び相手の所へ来た事を知ります。
女の子は、宿屋のお手伝いも始めました。
女の子は、もう遊び相手の所へ誰も来ないことに喜びます。

女の子は、今日も平和な一日であることが幸せです。
女の子は、今日も遊び相手と楽しく遊んでいます。

2015年2月12日木曜日

王道RPG的な何かのバッドエンド

王道RPG的な何かのバッドエンド
男:女(:不問)=1:1(:1) 計2人+1人
死ネタ、恋愛?、シリアス

(様子=19) ※様子(ナレ)の語りを増やす等の編集はおkです。
男=35
女=25

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■様子
少し遠くに大きな屋敷が見えるごく普通の村。
その村の中に建つ民家とは少し造りの異なる建物にノック音が響く。

■男
失礼する。

■様子
建物の扉を叩いた男が扉を開くと、中で女が1人、棚に瓶を並べていた。
女は男に気がつくと作業を止めて扉の方へ駆け寄る。

■女
あら、いらっしゃい。お客様で・・・いいのよね?

■男
ああ。旅をしていてな。
暫くここに滞在するので下見を兼ねて必要品を買いに来た。

■女
アハハッ
ここはお店なんだからそんな堅苦しい挨拶なんて要らないわよ。
何事かと思ってびっくりしちゃった。

■男
そ、そうだな。
(咳払い)・・・高濃度の魔力を含んだ薬はあるか?

■女
!・・・ええ、あるわよ。

■男
・・・?どうかしたのか?

■女
これって、今では自然と生えてくるからいいけれど、
元々は魔力を持った人達の血を吸った植物でしょう?
魔力を持った人は殺すのに、傷が回復したからって植物は重宝する。
一時期は量産するために沢山の人や動物が惨殺された事だってあるわ。

■男
ああ、そうだな。
皮肉にも、大昔に魔王が暴れた事によって
魔力があろうと無かろうと人間は人間だと証明された。
おかげで今では魔力を使って豊かな暮らしができている。
だが最近、魔力に押しつぶされて自我を失った者・・・魔物が暴れているのも確かだ。

■女
魔力が自我を持って宿主を喰らい、
倒しても大地の中で記憶による情報から身体を再構築して再び現れる。
厄介なものよね。

■男
そうだな。
厄介だからこそ、それに終止符を打つために俺は来た。

■女
あら、そうなの?
こんな所に原因があるとは思わないけれど、頑張ってね。

■男
勿論だ。調査をする間、何度か世話になるだろう。

■女
わかったわ。
ごめんなさいね、突然こんな話になっちゃって。

■男
いや、構わない。しかし珍しいものだな・・・
魔力や魔物、今までの歴史を詳しく知ったうえで誰かと話すなど
今どき学者や俺みたいな討伐者くらいだ。

■女
父様と母様が、よく世界の歴史について子守唄代わりに話してくれたの。

■男
子守唄代わりに?子どもにそんな話をするなど、随分と変わった親なのだな。

■女
ええ、とても風変わりで・・・だけど自慢の両親だったわ。
私の両親が変わっるというけれど、
こんな辺境の地に魔物の原因があるだなんて考える大人に育てた貴方の両親はどうなの?

■男
俺の・・・?俺の両親は普通で、普通すぎて退屈だったな。

■女
そんなご両親からどうやって貴方みたいなのが育つんでしょうね。
とても興味はあるけれど、そろそろ宿に行ったほうがいいんじゃない?

■男
おや、そんな時間になっていたか。
それでは今日は失礼する。

■女
またね。ここはほぼ毎日開けてるから
薬が必要になったら来るといいわ。

■男
ああ。

■様子。
翌日以降、男は早朝から周辺の調査や鍛錬を行い、
昼過ぎになると女の店に必ず立ち寄った。

■女
あら、今日も来たの?
そんなに毎日来たって、特別なものは入荷しないわよ。

■男
宿に居ても仕事の邪魔をしてしまうのでな。

■女
ふーん、宿の人みたいに私は忙しくないと?

■男
い、いや誤解だ。
その・・・重い荷を運ぶ手伝いでも、と思ったのだが。

■女
いくら私が女で貴方が男だとしても、
毎日薬で傷を直してるような人には頼めないわよ。

■男
これは・・魔物が予想以上に手強くてだな、
持ってきた道具が破損してしまったんだ。

■女
バカね、この辺りは手を出さなければ襲ってこないのに。

■男
仕方ないだろう。
あいつらの先に用があるんだ。

■女
魔物の巣窟を調べれば完全に倒せる、なんて考えてるの?
そんな無謀な貴方にはやっぱり荷物を運んでもらおうかしら。
これを運んで頂戴。

■男
・・・剣と鎧?

■女
売ろうと思って家から持ってきたのだけど、
置き場所がないから持っていてもらえる?

■男
いや、だがこれは・・・

■女
どうせ中古なんだし、壊れさえしなければ問題ないわ。
持ち手の布はすべり止めだから外しちゃ駄目よ?

■男
・・・・わかった、預かろう。

■女
ええ、ありがとう。
明日はちょっと家の用事で店に来られないから来ても薬は売れないわよ。

■男
そうか、承知した。

■様子
男は女から預かった剣と鎧を大事そうに抱えると、宿へ戻っていった。
女はその様子を見届けた後に店を締め、村から見える屋敷の方向へと向かっていった。
翌日、女は正装になると広間にある椅子へと腰掛けた。

■女(内心)
父様の鎧、サイズは大丈夫だったかしら・・・。

母様を殺して父様と刺し違えた人間と同じ討伐者ではあるけれど
母様だって人間だし、彼はあんな事しないわ。

だいたい、母様を殺された恨みを世界中に散らして
魔物なんか作った父様が悪いのよ。

そうだ、明日は薬草を使って何か料理をしようかしら。
いつも薬ばかり飲んでたら私ならおかしくなってしまう・・も・・の?

■様子
女が考え込んでいると、突然部屋の扉が乱暴に開かれた。
開いた扉からは、つい最近話すようになった男が佇んでいる。

■女(内心)
何故・・・どうしてあの人がここに?

■男
貴様が魔王だな。
魔物を作り、皆を苦しめたその罪は重い
その身を持って償うがいいッ

■女(内心)
魔王って、父様が昔そう呼ばれていたと笑っていた呼び名の事?
違う、違うわ。私はッ

■様子
女は突然の出来事に声も出ず、混乱したまま男へと手を伸ばした。
男はすかさず後ろへ飛び退く。

■男
ッ反論もせず俺を消す、というのか。
いいだろう・・・後悔させてやる!

■女(内心)
何故、剣を向けるの?
それに、その剣は、貴方が魔物に襲われないようにって・・・ッ

■様子
混乱と恐怖で動けなかった女は、男が持った剣によって簡単に貫かれた。

■女
な・・・ぜ・・・

■男
・・・女?まあいい、女だろうと魔王は魔王だ。

何故か、といったな。貴様は大暴れして多くの人を傷つけた。
それに飽き足らず魔物まで作った事は罪とも感じていないのか。

一思いに殺してやろうと思ったが、
そのまま己の罪を見直しながらジワジワと息絶えるがいい。

■女(内心)
ああ・・・全てを話していたら、何か違ったかしら・・・。

■様子
男は女から剣を抜くと、踵を返して部屋から出て行く。
女は薄れる意識の中でただその様子を眺めるしかなかった。

翌日、男は女の店を訪れる。
しかし店は開いておらず
男は心なしか周囲も沈黙しているように感じた。


■男
今日も休みだったのか。
明日、と言っていたから居ると思ったのだが・・・。

■様子
男はこの日、なんの疑問も持たずに宿へと戻っていく。
しかし、次の日も店は開いておらず、女の姿も無かった。

■男
・・・今日も居ないのか。風邪でも引いたのか?
仕方ない、魔物の残党狩りでもしていよう。
不思議とこの剣で貫くと魔物が復活しないみたいだ。
一体どこで手に入れたのだろうか・・・。

■様子
男は数日の間、魔物狩りに集中した。
村周辺の魔物を狩り尽くした頃に再び店へ行っても、女の影は無い。

■男
・・・一体どうしたのだろうか。
村の人々に聞いても現状も住まいさえも知らぬとは・・・。
魔物に襲われていたらこの数日で痕跡を見ているはずだ。

・・・王都の兵を呼んで屋敷を調べてもらうか。

■様子
男は雇い主である王都に手紙を出した。
数日後、王都から来た兵と共に再び屋敷へと向かう。

■男
魔王の死体は魔物に食い散らかされている、か。
無様だな。苦しんで死んだうえに己の生み出した者に喰われるなど。

■様子
男は屋敷の隅々まで調べたが、女が居る様子は無かった。
しかし、ある小部屋で見覚えのある物を見つける。

■男
これは・・・剣のすべり止めと同じ布?
まさか、ここに居たというのか?

■様子
男は部屋にあった布と剣に巻かれたものを見比べるために巻かれた布を解く。
すると、剣の持ち手にある彫り物が目に入った。

■男
!・・・この彫られた絵は、屋敷中にある魔王の紋章と同じ!?
まさか・・・ッ、この鎧にも同じ紋章がある・・・だと。

■様子
男は、女に剣と鎧を預かった時を思い出す。
それに連想して魔王を伐った時の様子がフラッシュバックで蘇る。

■男
まさか・・・まさかまさか、いや違う。違うはずだ!

■様子
男は取り乱しながら魔王の亡骸のある部屋へと走る。

■男
おい!魔王の亡骸は何処・・・へ。

■様子
勢い良く開いた扉の先では、王都の兵士が魔王の亡骸を燃やしている最中だった。
炎から僅かに逃れている髪が視界に入り、その色が記憶の中の人物と合わさる。

■男
これ・・・は。この髪は彼女と同じ・・・。
村に同じ髪色なんて無かった・・・俺は、俺はなんて事をしたんだ!

■様子
王都兵は男が取り乱す様子を見て魔王に呪いをかけられたのだと判断し、
男を引きずって王都に連れ帰ると即座に教会へ押し込んだ。
数日後、男が落ち着くと呪いが解けたと判断され、魔王討伐の祝いが行われた。
その祝いの中で男に新たな依頼が入る。

■男
魔王管轄の土地を攻め落とせと!?
確かに魔王は既におらず魔物討伐の武器もあるがッ
・・・そうだな、薬の生成や食物の確保に土地が必要、か。

なッ、他の国もあの土地を狙っている!?
渡しはしない、彼女が守り続けていたあの土地を!

■様子
男は王都の依頼を受け、率先して戦に参加した。

■男
魔王が居ない今、敵はあの国のみ!
必ずこの土地を我が国の物とするのだ!

■様子
始まった戦は終わらず、
男が戦場を退いても終わる気配を見せるどころか戦況は激しくなっていく。

■男
ここまでか。俺が壊してしまった平和。
彼女が小さな村で守ってきた大きな平和を取り戻せなかった。
俺がこのまま死んだら、君が地獄に連れて行ってくれるのか?
・・・そういえば、彼女の名前さえ知らないのだな・・・俺は。

----end

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衝動のままの原文(一部削除)

ある日、女の子が連れて来られました。
凄く泣いていて、迷子のようです。
家を尋ねると、もっと泣いてしまいました。
女の子は、泣きながら言います。

力があるのなら、こんな所で座ってないで喧嘩を止めて欲しい。

人と人との争いは面倒で、今まで只々眺めているだけでした。
女の子は泣きながら、真っ直ぐ相手を見据えます。
見られている方は、単純な毎日が変わるのならと引き受けました。


その変わりに
●まずは自分でなんとかしてみろ。
女の子は、頑張りましたがすぐに居なくなってしまいました。
女の子との約束を守って、喧嘩を無くしました。
村でも山でも世界中のどこであっても喧嘩の元は消しました。
大きくなる前に、小さなうちに全部消してしまいました。
今日も、女の子との約束を守ります。
今日も、暇つぶしの遊び相手がやってきます。
今日も、遊び相手はすぐに眠ってしまいます。
女の子のおかげで暇ではない毎日。
女の子とも遊びたかったと思いました。
●自分のものになれ

女の子との約束を守って、喧嘩を無くしました。

女の子は、お嫁さんになりました。
女の子は、女の人になって女の子とも生活します。

女の子は、お父さんとお母さんが居なくなって家を継ぎました。
女の子は、近くの村の商人になって、大好きな人達と生活します。

女の子は、お店に来た男の子を好きになりました。
女の子は、毎日傷だらけになって来る男の子にお父さんの剣と服をあげました。
女の子は、男の子が傷だらけにならなくなって喜びました。
女の子は、男の子に次来たら聞いてほしいことがあると言われました。
女の子は、ドキドキしながらお店から家に帰りました。

女の子は、いつもの椅子に座ります。
女の子は、突然開いた扉に驚きました。
女の子は、男の子が家に来たことに驚きました。
女の子は、男の子が怒って怒鳴っていることに驚きました。
女の子は、男の子がお父さんと喧嘩をしているのだと思いました。
女の子は、自分がお父さんと勘違いされていることに気づきました。
女の子は、気付いて欲しくて手を伸ばしました。

男の子は、傷付けられるのだと思いました。
女の子は、男の子がお父さんの剣を構えたことに驚きました。
男の子は、女の子から貰った大切な剣で倒すべき者を倒しました。
女の子は、どうなったのかよくわかりませんでした。
男の子は、急いで村へ帰っていきます。
女の子は、遠ざかる背中が悲しくて泣いていました。

男の子は、お店へ飛び込んでいきます。
男の子は、誰もいないお店にたたずみました。
男の子は、倒すべき者を倒したと手紙を書きました。
男の子は、何日も通い続けました。
男の子は、見つからない女の子の事を想って泣きました。
男の子は、泣きながら女の子に貰った剣と服を眺めました。
男の子は、女の子が剣と服につけたお守りの紐を解きました。
男の子は、何日も前に行ったっきりの家の家紋を剣と服に見つけました。

男の子は、ふと倒した相手を思い出します。
男の子は、薄い記憶のなかで女の子の髪を思い出します。
男の子は、只々泣き崩れました。

男の子は、迎えにきた人たちと故郷へ帰ります。
男の子は、故郷の人たちにお祝いされます。
男の子は、呆然と立っていました。

皆は、持ち主の居ない物を欲しがります。
皆は、また喧嘩を始めました。